警備で圧倒的首位のセコムを大研究!(警備の利益率は22%!)
セコム

出典:セコムのYoutubeより


「セコムしてますか?」

の長嶋茂雄氏のCMでも有名なセコム。

「業界首位の企業を調べる」シリーズの第2回のお題は、セコムです。


警備会社の比較

セコムというと、地味で労働集約的な警備会社というイメージがあるかもしれません。

そこでまず、警備業界における競合との比較をしてみましょう。

警備業界には、セコム以外にもALSOKやCSPなどの競合がいますが、売上ではセコムがダントツのトップであり、営業利益率も頭一つ抜けてトップになっています。また、売上原価率も競合と比べて10%近く高い30%を超えています。



セコムの概要

では、ここからはセコムについて見てみます。

セコムは、日本初の総合警備会社であり、1964年の東京オリンピック際には、選手村の警備などをセコム一社で担当しています。


また、警備業界における様々な日本初をセコムは生み出しています。

例えば、オンラインによる安全システムの「SPアラーム」や家庭用安全システムの「マイアラーム」、屋外循環監視ロボットの「セコムロボットX」の販売、民間の刑務所など、たくさんの日本初を生み出しています。


また、M&Aも盛んに行なっています。

例えば、東洋火災海上保険を買収してセコム損害保険になっているほか、防災用具で国内首位の能美防災と3位のニッタン、データセンターで国内最大級のアット東京、航空測量・地理情報システムのパスコ、貴重品輸送のアサヒセキュリティ、小荷物専用昇降機で国内首位のクマリフト、倉本記念病院など幅広く買収しています。


また、海外展開にも積極的で、1978年に台湾へ進出したのを皮切りに、アメリカやイギリスのホームセキュリティの会社を買収したり、世界で21の国と地域に進出しています。


セコムの売上と営業利益

セコムの売上と営業利益の推移をみてみます。

直近5年間は売上も営業利益も共に右肩成長です。



セコムの売上構成

次に、セコムの売上構成をみてみます。

祖業であるセキュリティサービスが売上の半分近くを占めており、営業利益率も22%と圧倒的になっています。

セキュリティサービス以外の防災や保険、地理情報システムは、全てM&Aによって始まった事業です。



高利益率の理由

では、なぜセコムはここまで利益率が高いのでしょうか。

大きく4つの理由があります。

1つ目は、先行優位性です。

セコムのような警備サービスは、よっぽどの理由がない限り他社に変えることがなく、また工事を伴うなどエクスチェンジコストが高くなっています。

その市場においてセコムは、法人顧客の多くを既に抑えているほか、家庭向けも高いブランド力を持っています。

そのため、これらのセコムの既存顧客をひっくり返そうにも価格を下げるしかなく、競合他社の利益率を下げている要因になっています。

2つ目は、規模の経済が働いているからです。

警備サービスは、「警備先で異常が発生した時にどれだけ迅速に駆けつける」ことが価値であり、そのために警備員が待機するための拠点が、高密度に沢山必要になります。

この拠点を作るのが多額の投資が必要ですが、既にセコムの場合、他社を圧倒する2800箇所の拠点を持っています。

そのため、今後顧客が増えていくにつれて、利益率も高まっていきます。

3つ目は、1顧客あたりの単価を上げるための施策を打っていることです。

家庭向けであれば、警備サービスの「ホームセキュリティ」だけでなく、高齢者や子供を見守るサービスの「ココセコム」、健康管理サービスの「セコム・マイドクターW」、家事代行の「セコム・ホームサービス」、「緊急事態の時に介護施設や看護師に通知が行く「セコム・マイドクタープラス」、保険の「セコム安全マイホーム保険」など、単価を上げるための施策を打っています。

また、そもそもとしてホームセキュリティをつける家庭が、どのような家庭かというと「富裕層」であり、安全や安心のためならお金を払う可能性が高いです。

4つ目は、機械警備の比率が高いためです。

警備業界には、大きく「機械警備」「常駐警備」「運搬警備」の3つがあります。「機械警備」は、機械を使って遠隔で監視するもので、異常事態が発生した時に警備員が駆けつける警備方法です。「常駐警備」は、警備員を常に配置する警備方法です。「運搬警備」とは、銀行や小売店の現金を輸送する警備です。

中でも「機械警備」は、警備員を「常駐警備」「運搬警備」ほど必要としないため、利益率が高い傾向にあります。セコムは、この「機械警備」の比率が他社と比較しても高いです。


まとめ

では、今後セコムはどうなって行くのでしょうか。

私的には、国内も海外も共に中心に成長して行くと思われます。

まず、国内については、サブプライムショック後も安定的に成長しており、中でも家庭向けが成長しています。また、高齢者も増えています(そして往往にして高齢者はお金を持っている)。

そのため、家庭向けのサービスでうまくクロスセリングをすることで、1顧客あたりの単価を上げ続けることができれば、さらなる成長が見込まれます。

海外については、国際情勢が不安定化している中で、警備というものへの需要は増して行くと思われます。また、日本の手厚いサービスを海外の富裕層向けに提供していける可能性は高いと思います。

今後のセコムも楽しみです。