インディテックスはスペイン北西部のア・コルーニャに本社をおく世界最大規模のアパレル企業で、8つのアパレルブランド(Zara, Pull&Bear, Massimo Dutti, Bershka, Stradivarius, Oysho, Zara Home, Uterqüe)を7385店舗で展開している。
創業は1963年で、創業者のアマンシオ・オルテガが小さな婦人向けの洋服店を始めたのが始まりだ。12年後の1975年にZaraの一号店を開店し、そのビジネスモデルが通用すると見ると事業を拡大、1983年にはスペイン中に9店舗を展開。
インティデックスが企業として正式に設立されたのは1985年で、1988年に初の海外店舗をポルトガルに開店、そこから海外展開を進めていった。
インディテックスの2000年、2007年、2016年の業績をピックアップすると、次のようになっている。
(ユーロ) | 売上高 | 営業利益 |
2001年1月期 | 26億1470万 | 3億7990万 |
2008年1月期 | 94億3500万 | 16億5200万 |
2017年1月期 | 233億1100万 | 40億2100万 |
17年間で売上高は10倍近く、営業利益は10倍以上に成長している。
今回は、これだけの成長を見せるインディテックスの経営戦略はどういうものなのかを2016年の決算プレゼンテーションとそのトランスクリプトを通じて掘り下げてみたい。
まずは2016年の振り返りから。
・差別化されたビジネスモデル
・世界的に統一された店舗とオンライン
・とても強い業績
・強力なキャッシュフロー、投資、配当
・グローバルでの成長機会
この辺りがポイントだったようだ。
12%の売上成長と、そのうち既存店が10%の成長。純利益は10%増大。
インディテックスは、店舗とオンラインを世界的かつ全面的に統合することで、お客さんの要求に最もよく答えられるそうだ。
ビジネスモデルは高度に差別化されていて、一つの在庫場所から、世界中の店舗に対して最低でも2週間に一度配送するほか、お客さんの注文に対して48時間以内に届けることができる。
2016年には事業の鍵となる世界中のフラグシップ店舗について、差別化のための開店や拡大を推進した。
その具体例として、東京新宿におけるZaraグローバル・フラグシップ店が挙げられる。この店舗は東京の目立つ場所に位置しており、さらに3000平方メートルもの大きさがある。
また、秋にはバルセロナのカタルーニャ広場に4500平方メートルの大きさがあるグローバル・フラグシップ店舗を開いた。
2017年には、マドリードのパセオ・デ・ラ・カステリャーナにて6000平方メートルのグローバル・フラグシップ店舗を開く予定とのこと。どんどん巨大化している。
サッカーのグラウンドが105m×68mの約7140平方メートルとのことなので、かなりサッカー場に近い大きさということがわかる。
プレゼンテーション資料では、しばらく開店予定のフラグシップ店舗の紹介が続く。
パリ、ロンドン、ドバイ、カタール、名古屋、ムンバイなどの一等地に店舗を開く予定のようだ。
オンライン事業も積極的に推進しており、世界15カ国に在庫センターを設けているようだ。上の地図を見ると、東京が2011年で本社のあるスペインについで早い。
今後数年の間、インディテックスは事業をより多くのマーケットに展開することに引き続き投資し続けるようだ。それにより、店舗・オンラインともに長期的な売上成長を見込んでいるとのこと。
インディテックスにとって「ホーム」であるヨーロッパでの成長。全ての市場で強い存在感を発揮しており、まだまだ成長余地があると言っている。
続いてアジア。アジアは現時点で売上全体の24%ほどを占める。アジアでは「マルチ・コンセプト」戦略を展開しており、各国でオンラインでの存在感を発揮しているという(そうかな?)。
その他、アメリカ、アフリカにも展開していくとのこと。
ぶっちゃけ、「確固たるビジネスモデルと存在感があるから、このままいろんな国に参入拡大しちゃいますよ」と言っている感じがする。
インディテックスのオンライン販売は近年、急速に成長しているとのこと。
資本効率性について。より大きな店舗を主要な場所に展開し、オンライン販売を拡大することで差別化を進めるとのこと。よりハイエンドにするという感じか。
また、拡大に必要な資本はあまり大きくないらしい。スペースの拡大と比較して、追加投資は小さくて済むとのこと。
主要都市に新規出店することと、既存店舗の成長、オンライン販売の3つ巴で売上を成長させる。
2017年の見通し。
・主要都市への出店で合計32万平方メートルもの新規スペースをゲット
・450から500もの新規出店と、150から200の小さな店舗を吸収する予定
・15億ユーロの資本投資を見込んでいる
最も主要な戦略は「主要都市に巨大店舗を集中させる」こと。それによって地の利を得ようということのようだ。
また、あまり具体的な説明はなかったが、オンライン販売にも力を入れていくつもりっぽい。
製品であるアパレルブランドに関する説明はほとんどなかった。まあ投資家に説明してもしょうがないのかもしれないが。。
全体としてプレゼン資料(とトランスクリプト)を見る限りでは、店舗の大きさ以外に数値での説明がほとんどなかった(「strong」みたいな定性的ワードはよく出てくる)。製品には圧倒的なブランド力がある上で、それをシンプルに拡大していきますよ、ということなのかもしれない。
インディテックスの合計店舗数の推移をグラフにしてみた。1996年当時は541店舗だったが、2000年に1000店舗を超え、2004年には2000店舗を超えた。
2010年には5000店舗も超えて、2016年末の店舗数は7292店舗となっている。